ミケと一緒に住み始めて2年ぐらい。家事全般は私がやることのほうが多いと思う。でも「女/男」の区別ではなくて、どっちのほうが早く気がついて、やる気分になっちゃうかということの区別のためと思う。私ができないこと、気がつかないことが沢山あって(電気配線関係だけど笑)それはすべてミケ がやっておいてくれてるし。
ミケと私では家事仕事を「いつ終わらせる」か、という時間感覚が違う。私が茶碗洗い、掃除、ご飯作りを(結果的に)やってるのは、「今これをやったほうがいい!」と思った瞬間にやっちゃう(いや、やらずにはいられない、気がすまない)からで、ミケは気づいた場合でも「後でやろ~」となる。私はそれがだめで、「あ~もいいや、私がやっちゃえ」となる。残っている仕事が視野に入ることのほうがストレスになっちゃう。ミケと一緒に過ごす中で自分も変わったなあと思うのは、そうした差を「ミケはミケ、私は私だから、まいいや」と思えるようになったことかなあ。「私ばっかりやって!」っていう意識じゃなくて「私がコレができるけどミケはアッチができる」と考えるようになったこと。または、時には「いいや、ミケにはミケの時間感覚があるんだからほうっておいてやってもらおう」と「待つ」こと。ミケに影響されてる分が多いと思う。
「待つ」ってことの基にあるのは、自分の世界を他人の世界と一緒と考えないこと、ってことに行き着く。どういうことかというと、いつも頭に浮かぶ子供のころの思い出が2つある。
確か、小学校3年生ぐらいだったと思う。週末で、家には、まだ2-3歳の妹とお母さんと私の3人だけだった。午前中に子供用のレシピ本を見てて、ハンバーグご飯を作ってあげよう!と思い立った。それまでしっかり料理したのは、確か卵焼きぐらいだけだったと思う。だから、料理時間を考えて作り始めるべき、ということを知らなかった。お昼ごはんが12時として、多分その30分前ぐらいから始めた気がする。初めての料理で、ハンバーグ、ニンジンのバターソテー、粉ふきいもを作った。結果、お昼ごはんを食べ始めたのが午後3時半。それだけ時間がかかったことにびっくりした。
そのとき分からなかったけど、高校大学ぐらいから、あの日、お母さんはずっと「待って」くれてたんだよな~と思う。横から手を出して一緒にやらなかったし、ご飯食べ終わった後も「今度からは時間を考えて作りなさいね」とも言わなかった。「美味しかった!ありがとう、ご馳走様」って言ったんだよね。待つことの威力ってすごいってしみじみ思う。結果、自分で学んだんだよね。
もうひとつが、小学校5年生のとき。裁縫クラブに入った。周りの友達が、手提げ袋とか枕とか作ってるなかで、私はTシャツを作ることにした。すごく簡単だと思った。で、布をこう裁断した。↓
途中からすごく楽しくなって、家にも持ち帰って縫ってたけど、お母さんは横から一言も、または手伝いもしなかった。ただ私のしてることを見てるな、っていうのは分かってた。で、数週間後完成!うわ~っって思って早速学校で着てみたら、「腕が入らない!」 え?って思って、自分が今脱いだばっかりのシャツを見てみて、びっくりした。そっか、人間の体は立体的なんだ!という発見。「服のつくりは人間の身体の動きをマルチカバーできるようになっている」っていうことを知った衝撃って大きかった。見てみぬ振りをしてた先生もお母さんは凄いと思う。けど、その凄さというか、「言いたいけど言わないでこらえる」ってことの大切さとかを分かるようになったのは、大学に入ってからかなあ。あれは、大人に「服ってそういう造りになってないよ」と言われてたら「あ、ふーん」で終わる知識だったんだと思う。
待つってことの基は、自分の世界と他人の世界の地平線が同じと思わないことにあると思う。お母さんのすでに色々な経験の上にある知識世界と、子供だった私の世界の地平線は違っていて、同じ知識世界に行く過程を、他人が横から作っちゃうのはその人にとって簡単だし「正当」に見えるけど、横暴だったり、それが軋轢の原因になったりする。
「自分と同じと思わないこと」って、簡単のように見えて凄く難しい。私も含め、人間って主観的存在だから。自分が「当たり前」と思っていることは、他人にとって「当たり前」じゃない。自分が「正しい」ということも、そうじゃない可能性がある。その可能性って素晴らしいと思う。その差異って驚異的だと思う。だから人間同士のコミュニケーションって魅力的なんだと思う。待つことができる、心のゆとりと視野を、いつも持てるようになろうと、なりたい、とよくそう思う。
1 comment:
hanamomo 生きていく・・・、っていい言葉だねえ。「いく」って前に道を作る行為だよねえ。ただ時間を過ごすんじゃなくて、「生きる」ことを意識的にするってことが「生きていく」だよねえ。毎日一回は絶対hanamomoがなにしてるかなって考えてるよ。
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